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一次データの全数集計

JIIMA認証ソフトを全件数えた

「JIIMA認証を取っているソフトは何本あるのか」を調べようとしたら、合計を書いた資料が見当たりませんでした。区分ごとの一覧はあるのに、横断した数字がない。
そこで5区分すべての認証製品一覧を全件取得して、自分で数えました。のべ897件。ただしこれは製品数ではありません。重複を除くと412製品まで減ります。
そして、この数字に辿り着くまでに4回間違えました。その経緯も全部書きます。

公開:2026-09-03読了:約14分データ基準日:2026-08-21
先に免責
本記事は税務・法務の助言ではありません。筆者は税理士でも法律家でもなく、JIIMAと国税庁が公開している一覧を集計した記録です。認証の有無や有効期限は日々変わります。個別の製品について判断するときは、必ずJIIMAの公式一覧で最新の状態をご確認ください。
結論を先に(2026年8月21日現在)
897のべ認証件数5区分の合計
412製品重複を除いた実数主製品ベース
259認証を持つ事業者表記ゆれを正規化後
17.9%最大手1社の占有株式会社TKC 161件

01どう数えたか(再現手順)

国税庁のJIIMA認証情報リストは、区分ごとにJIIMAのページへリンクしているだけで、件数は書かれていません。JIIMA側も区分別の一覧を出しており、確認できた範囲では横断集計は見当たりませんでした。

そこで、JIIMAの認証制度ページから辿れる5つの認証製品一覧をすべて取得し、行を機械的に数えました。

集計の手順
  1. 取得対象:認証製品一覧5ページ(スキャナ保存/電子帳簿/電子取引/電子書類/デジタルシームレス)。取得は5リクエストのみ・3秒間隔robots.txt/certification/ が禁止されていないことを事前に確認しています
  2. 行の取り出し<table> 単位ではなく<tr> をページ全体から拾います。1ページに表が複数あり、しかも入れ子になっているため、表単位で切ると取りこぼします(後述)
  3. データ行の判定:セルの中に認証番号(600100-00 の形式)が単独で入っている位置を探し、そこから次の認証番号の手前までを1レコードとします。<thead> が閉じられておらず見出し行と1行目が1つの <tr> に融合しているため、この方法でないと各表の先頭行が落ちます
  4. 他区分の参照番号を除く:デジタルシームレスの各行には「電子取引認証番号」列があり、他区分の番号が同じ行に入っています。認証番号の系列(先頭2桁)がその区分のものかで判定し、参照番号ではレコードを作りません
  5. 主製品/派生製品:区分によって表記が違います(「派生製品」と「・派生-1」)。文字列に「派生」を含むかどうかで判定
  6. 事業者名の正規化:全角英数を半角に統一(NFKC)し、空白と「(旧…)」を除去。これをしないと同じ会社が二重に数えられます
  7. 製品の重複除去:製品名(NFKC正規化)とメーカー名の組で一意化。括弧の中身は落としません(落とすと別製品が潰れます。後述)
  8. 検算:抽出した行数が、生HTMLの中で「セルとして認証番号そのものになっている」箇所の数と一致するかを区分ごとに突き合わせます。これが今回の要です。
基準日は5区分すべて「2026年8月21日現在」と表示されていました。取得日は2026年9月3日です。
検算の結果(生HTMLの認証番号セル数と抽出行数)
区分生HTMLの認証番号セルうち自区分の系列抽出行数判定
電帳法スキャナ保存ソフト251251251一致
電子帳簿ソフト171171171一致
電子取引ソフト325325325一致
電子書類ソフト114114114一致
デジタルシームレスソフト723636一致

認証番号の重複は0件、有効期限が取れなかった行も0件でした。

02のべ897件の内訳

5区分を合計すると897件でした。

認証区分別の件数(バーは最大値325に対する比率)
電子取引325
スキャナ保存251
電子帳簿171
電子書類114
デジタルシームレス36
電子取引とスキャナ保存の2区分で576件=全体の64.2%。最も少ないデジタルシームレスは36件(4.0%)しかありません。
区分別の主製品・派生製品(2026年8月21日現在)
認証区分件数主製品派生製品派生の比率
電子取引ソフト3252566921.2%
電帳法スキャナ保存ソフト2511916023.9%
電子帳簿ソフト171957644.4%
電子書類ソフト114724236.8%
デジタルシームレスソフト3633391.7%
合計89761728031.2%

派生製品の比率が区分によって21.2%〜91.7%とまるで違います。この差が、次に見る「件数≠製品数」の正体です。

03「897」は製品数ではない

ここが本記事で一番言いたいところです。897という数字を「認証されたソフトが897本ある」と読むと、実態を大きく取り違えます。

減らす要因が2つあります。

897件が412製品になるまで
のべ認証件数897
主製品のみ617
重複除去後412
派生製品280件を除く(同じ中身のOEM版・エディション違い)。②1つの製品が複数区分で認証を取っている分を1つに数える。

1つの製品が複数の区分で認証を取るのは珍しくありません。412製品のうち143製品(34.7%)が2区分以上を持っていました。

4区分以上で認証を取っている主製品(全7件)
区分数製品提供事業者
5DataDeliveryJFEシステムズ株式会社
5FX2クラウド株式会社TKC
4快速サーチャーGXTISI株式会社
4Paples日鉄日立システムソリューションズ株式会社
4戦略情報会計システム OPEN21 SIAS株式会社ICSパートナーズ
4勘定奉行クラウド株式会社オービックビジネスコンサルタント
4マネーフォワード クラウド会計Plus株式会社マネーフォワード

3区分を持つ主製品は30件です(ArcSuite・DocuShare・インボイス・マネジャー・ReportFiling・OBIC7 など)。

04259社。ただし1社で17.9%

事業者名を正規化すると259社でした。正規化前の表記は284種類あったので、25件は表記ゆれです。最大のものは「株式会社TKC」と「株式会社TKC」で、半角と全角の違いだけで別会社として数えられていました(125件と36件)。

認証件数の多い事業者 上位10(バーは最大値161に対する比率)
TKC161
エプソン販売40
ピー・シー・エー25
マネーフォワード22
住友電工情報システム18
富士フイルムBI14
PFU13
リコージャパン12
ミロク情報サービス12
ラクス11
上位10社で328件=全体の36.6%。一方で認証が1件だけの事業者は122社あり、これは259社の47.1%にあたります。

ただしTKCの161件は「161製品を出している」という意味ではありません。内訳を見ると、主製品は11件で、残る150件は派生製品でした。

株式会社TKCの161件の内訳(5区分すべてを保有)
区分件数
電帳法スキャナ保存ソフト36
電子取引ソフト35
デジタルシームレスソフト35
電子帳簿ソフト29
電子書類ソフト26
計(主製品11/派生製品150)161

つまり、少数の主製品に対して多数の派生版を個別に登録している形です。これは制度の使い方として正当ですが、件数をそのまま「シェア」と読むと実態から外れます。

事業者が持っている認証区分の数
1区分だけ142社
2区分70社
3区分31社
4区分14社
5区分すべて2社
5区分すべてを揃えているのは、株式会社TKC と JFEシステムズ株式会社の2社だけでした。一方で過半(142社=54.8%)は1区分しか持っていません。

05区分ごとの性格が違う

件数だけでなく、中身の構成が区分ごとに大きく違います。とくに極端なのがデジタルシームレスです。

派生比率が両極端な2区分
デジタルシームレスソフト(36件・派生91.7%)
  • 主製品は3件だけ
  • 株式会社TKC「FX2クラウド」
  • 株式会社TKC「インボイス・マネジャー」
  • JFEシステムズ株式会社「DataDelivery」
  • 派生33件はすべてTKC
  • 実質2社・3製品の区分
電子取引ソフト(325件・派生21.2%)
  • 主製品256件
  • 5区分で最も件数が多い
  • 全体の36.2%
  • 幅広い事業者が参入している
JIIMAはデジタルシームレス認証を「請求書等のデジタルデータを自動で保存し、帳簿に自動連携する仕組みに対応したシステム的な法的要件を満足していると判断したものを認証するものです。」と説明しています。要件が重い分、取得している事業者が限られているものと考えられますが、その理由まではJIIMAの公開資料では確認できませんでした。

この区分の一覧には「電子取引認証番号」という列があり、各行が電子取引ソフト認証の番号を参照しています。デジタルシームレス認証は、電子取引認証の上に積む形になっているようです。

06期限切れが残っている、と誤解しかけた

有効期限の欄を集計したとき、2026年9月3日の時点ですでに期限日を過ぎているものが21件ありました。最も古いのは2025年10月5日(Great Sign/株式会社TREASURY)です。

一瞬「期限切れの製品が一覧に残っている」と書きかけました。間違いでした。

★の意味を確認していなかった
有効期限の値には が付いているものがあり、その意味を確認せずに数えていました。一覧の冒頭にこう書かれています。

認証有効期限欄に★が表示されているソフトにつきましては、更新審査の申請がなされており、認証有効期限以降も認証ソフトとして有効な製品です。

改めて数え直すと、期限日を過ぎている21件は、すべて★付きでした。そして★が付いているのに期限内、という食い違いも0件。つまり★なしで期限切れの製品は1件もなく、一覧は完全に整合していました。
認証有効期限の年別分布(897件)
2025年2
2026年72
2027年218
2028年374
2029年219
2030年12
2026年9月3日から年内に期限が来るものが53件あります。認証は取って終わりではなく、更新審査が要るということです。導入判断に使うときは、期限と★の有無まで見た方が確実です。

074回間違えた話

この記事は一度、まったく違う数字で書き上がっていました。のべ676件・実質344製品・事業者235社。全部間違いです。公開前の検証で気づいて、集計をやり直しました。

間違いの中身と、なぜ気づけなかったかを書きます。

潰した4つの集計ミス
#何を間違えたかどう気づいたか
1 製品名の括弧を一括削除していたため、「あんしんエビデンス管理(OnBase)/(Box)/(SharePoint Online)」という別々の3製品を1つに潰していた 集計結果に「9区分で認証」という値が出た。区分は5つしかないので、ありえない。すぐ分かった
2 ページの表を <table>…</table> で切り出していた。JIIMAのページは表が入れ子になっているため非貪欲マッチが破綻し、1ページあたり最大144行を落としていた 🔴気づけなかった。下記参照
3 <thead> が閉じられていないため見出し行と1行目が同じ <tr> に融合しており、5ページすべてで先頭の1行が落ちていた(BtoBプラットフォーム 請求書など) 🔴気づけなかった。下記参照
4 デジタルシームレスの行にある「電子取引認証番号」を別の行だと誤認し、36件を二重に数えていた(36件→72件) 認証番号の重複が36件出た。区分をまたぐ重複は本来ありえないので検出できた
一番の教訓:「ありえない値」が出なかったから気づけなかった
私たちはこれまで「ありえない値が出たら、対象ではなく自分の処理を疑う」という教訓を持っていました。①と④はそれで見つかりました。

②と③は、それでは見つかりません。「676件」も「344製品」も「235社」も、言われれば信じてしまう、もっともらしい数字だからです。区分別の内訳も自然に見えました。25%が消えていても、出てきた表は破綻していませんでした。

見つけられた唯一の方法は、抽出した行数を、生データ側から別の方法で数えた総数と突き合わせることでした。今回でいえば「HTMLの中に、認証番号そのものになっているセルはいくつあるか」を正規表現で単純に数え、抽出行数と比べる。これ1回で、②③④のすべてが検出できます。

全数調査を名乗るなら、「全部取れたことの証明」を別経路で用意する。それが今回いちばん高くついた学びです。01の手順8に組み込みました。

08OSSは見当たらなかった

私たちの関心は「オープンソースで電子帳簿保存法に対応できるか」でした。そこで897件にOSSと判別できる製品があるかを確認しました。

見当たりませんでした。ただし、次の限界があります。

一覧に情報が無い
認証製品一覧にライセンス種別の欄はありません。製品名と提供事業者名から判断できた範囲の話です
不存在は証明できない
確認できた範囲では見当たらなかった」であって、「存在しない」ではありません
紛らわしい一致
機械検索では「フリー株式会社」「株式会社フリーウェイジャパン/フリーウェイ経理」が「フリー」に、「CONTRACT CROSS」が「OSS」に一致します。いずれもOSSではないので目視で除外しました

とはいえ、構造的にそうなる理由があります。JIIMAは電子取引ソフト法的要件認証のFAQで、事務処理規程の備付けで対応するソフトについて「本認証の対象ではありません。電磁的記録の訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付けで対応するソフトは、ユーザーの運用との組み合わせで法的要件を満たすことが必須となるので、ソフトウェア単体の機能では電子取引の要件を満たしていることが確認できないためです。」と明記しています。規程での対応を前提にするソフトウェアは、適法に運用できても認証を取ること自体ができません。この点は別記事の電帳法にOSSで対応できるのかで、費用まで含めて詳しく書きました。

09この数字をどう読むか

集計してみて、読み違えやすい点がはっきりしました。

この一覧を読むときの注意点
やりがちな読み方
  • 「897本のソフトが認証されている」
  • 「TKCが市場の17.9%を占めている」
  • 「期限切れが放置されている」
  • 「認証がないソフトは使えない」
実際
  • のべ897件。実質412製品
  • TKCの161件は主製品11+派生150
  • 期限超過21件は全て更新審査中(★)
  • 認証は法律上の義務ではない

最後の点だけ補足します。JIIMA認証は電子帳簿保存法の要件ではありません。国税庁の電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)は「保存義務者の予見可能性を向上させる観点から、JIIMAがソフトウェア等の法的要件認証制度を実施しています。」と説明しています。認証がないソフトウェアでも、要件を満たしていれば適法です。

認証の意味は「自分で要件を1つずつ確認しなくてよくなる」ことにあります。412製品という数字は、その手間を省ける選択肢がそれだけあるということであって、それ以外の選択肢が違法になるという意味ではありません。

この記事の数字を再現したい方へ
集計の手順は01に全部書きました。取得元はJIIMAの認証制度ページから辿れる5つの一覧です。基準日が変われば件数も変わりますので、本記事の数字は2026年8月21日現在の一覧を2026年9月3日に取得したものとして扱ってください。手順2〜4(入れ子テーブル・融合した見出し行・他区分の参照番号)と、手順8の検算を入れないと、この記事とは違う数字になります。私たちは実際に、それで25%を取りこぼした数字を一度書き上げました。

データ・出典

  1. JIIMA「認証制度」(5つの認証制度と各制度の説明文)
  2. 認証製品一覧(いずれも2026年8月21日現在・2026-09-03取得):電帳法スキャナ保存ソフト(251件)/電子帳簿ソフト(171件)/電子取引ソフト(325件)/電子書類ソフト(114件)/デジタルシームレスソフト(36件)
  3. ★の意味=認証製品一覧の冒頭「認証有効期限欄に★が表示されているソフトにつきましては、更新審査の申請がなされており、認証有効期限以降も認証ソフトとして有効な製品です。」(原文ママ・5ページすべてに記載)
  4. 国税庁「JIIMA認証情報リスト」(区分の一覧。件数の記載はありません
  5. JIIMA「電子取引ソフト法的要件認証制度」FAQ Q2(規程の備付けで対応するシステムが認証対象外である旨)
  6. 国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和7年6月・PDF)(「保存義務者の予見可能性を向上させる観点から…」の記載)
  7. 取得方法:各一覧ページを1ページ1リクエスト・3秒間隔・計5リクエストで取得。JIIMAの robots.txt/wp-admin/ のみを Disallow としており、/certification/ は対象外であることを事前に確認しています
本記事は税務・法務に関する助言ではありません。筆者は税理士・法律家ではなく、公開されている一覧を集計した記録です。件数は基準日(2026年8月21日)時点のもので、認証の取得・更新・失効により変動します。事業者名の集計は表記を正規化したうえでの機械的な集計であり、グループ会社の統合や社名変更は反映していません(同一グループを別法人として数えている場合があります)。特定の事業者や製品の優劣を評価するものではありません。オープンソース製品の有無については、一覧にライセンス種別の記載が無いため「確認できた範囲では見当たらなかった」という以上のことは述べていません。「認証を受けよという規定はない」旨は国税庁の一問一答の説明とJIIMAのFAQに基づく理解であり、法令本文までは確認していません。個別の製品の認証状態は、必ずJIIMAの公式一覧で最新の情報をご確認ください。