Miqto
公式情報の確認

国産「社内AI」SaaSの価格と中身を全部調べた

「社内AI」「社内版ChatGPT」を掲げる国産SaaSが、いま数多くあります。価格も構成もバラバラで、比較が難しい。そこで、公式情報だけを使って、価格と中身を整理しました。
いちばん大事な軸は、「自社で基盤モデルをフルスクラッチ開発していると明言しているか」「外部モデルを利用する構成だと明示しているか」を、公式の言葉で分けることです。どちらが良い悪いではありません。公式がどう説明しているかを、そのまま並べます。

公開:2026-07-20読了:約13分確認時点:2026-07-20
この記事の書き方について
特定サービスを「◯◯型」などと決めつける評価語は使いません。公式が自ら述べている事実(フルスクラッチと明言しているか/外部モデル利用を明示しているか)だけを引用します。公式に書かれていないことは「非公表」「確認できなかった」と明記します。

01なぜこれを調べたか

私たちはオープンソースで社内AI(RAG)を構築する原価を別記事で計算しました。その流れで、「では、既にある国産の社内AI SaaSは、いくらで、何を使っているのか」を知りたくなりました。

調べてすぐ気づいたのは、「国産AI」という言葉が、まったく違う2つのものを指していることです。自社で言語モデルそのものを開発しているサービスと、外部の言語モデルを組み合わせて業務向けに仕立てているサービス。この2つを混ぜて比べると、価格も評価も意味を失います。

この記事で扱う範囲(先に数字で)
980円〜最安の社内AI SaaSChatSense
3,148Copilot Business年払い・税抜
3フルスクラッチと明言tsuzumi / Sarashina / PLaMo
「国産AI」という言葉が、モデルを自社で持つものと外部モデルを使う構成の両方を指しているのが、比較を難しくしています。

02分ける軸:モデルを「持つ」か「使う」か

まず軸を定義します。公式が自ら述べている事実だけで分けます。

2つの構成(公式の記述による分類)
基盤モデルを持つ

自社で言語モデルをフルスクラッチ開発と公式が明言

例:NTT tsuzumi / SB Sarashina / PFN PLaMo

※Takaneは海外モデルをベースと公式が明示(後述)

外部モデルを使う構成

OpenAI・Google・Anthropic等の外部モデルを利用する構成と公式に明示

例:exaBase / ChatSense(いずれも公式が外部モデル利用を明示)

※自社基盤モデルの保有は公表していない

どちらが優れているという話ではありません。用途(機密性・カスタマイズ・コスト)によって適解が変わります。ここでは「公式がどう説明しているか」を分類しているだけです。

03フルスクラッチと明言しているモデル

「自社でゼロから作った」と公式に明言しているモデルだけを、逐語で確認しました。曖昧なものは「非公表」に置きます。

基盤モデルの開発方式(公式の明言があるものだけ判定)
モデル公式の記述判定
NTT tsuzumi「NTTがフルスクラッチでゼロから開発した純国産モデル」フルスクラッチ明言
SB Intuitions Sarashina「フルスクラッチで開発した最新の国産LLM」フルスクラッチ明言
PFN PLaMo「PFNグループがフルスクラッチ開発する国産の大規模言語モデル」フルスクラッチ明言
カラクリ KARAKURI LM公式モデルカード「builds upon Llama 2」「Finetuned from: Llama-2-70b」Llama 2ベース
NEC cotomi「独自開発」と説明。フルスクラッチか否かの明言は確認できず非公表
PKSHARetNetで独自開発と説明。フルスクラッチの明言は確認できず非公表
NEC cotomi・PKSHAは、公式一次ソースで「フルスクラッチ」か「他社ベース」かを切り分けられませんでした。断定せず「非公表」とします。「非公表」は否定ではありません。
PLaMo のAPI単価(公式)
60円入力(100万トークン)
250円出力(100万トークン)
1/4以下2025年5月に値下げ旧300円 / 1,000円から
2026年の PLaMo 3.0 Prime でもこの単価を維持。無料プランもあります。税抜か税込かは公式に明記が確認できませんでした。

04富士通Takaneと「純国産」の話

ここは、言葉の使われ方が要注意です。富士通のTakaneは「純国産」と紹介されることがありますが、公式の記述は違います。

Takaneのベースモデル(公式発表の逐語)
Takaneは純国産モデル
富士通公式:「CohereのLLM『Command R+』をベースに(略)開発した」。ベースは海外モデル。富士通自身は「純国産」と名乗っていない
「純国産」という表現を使っているのは第三者のメディア側で、富士通の一次情報にはありません。これは「富士通が偽っている」という話ではなく、紹介する側が言葉を足しているという話です。区別が要ります。

05社内AI SaaSの価格を並べた

外部モデルを利用する構成のものを中心に、価格を公式で確認しました。価格改定が速い領域なので、条件と時点を必ず添えます。

社内AI SaaS 主要サービスの価格(公式・確認時点2026-07-20)
サービス価格条件・注記
ChatSense980円〜/人/月初期0円・最低人数/期間なし・超過分は従量
ELYZA Works税抜 980 / 2,980 / 4,980円
(KDDI公式は税込 1,078 / 3,278 / 5,478円)
最低20アカウント・最低3か月
Microsoft Copilot Business3,148円(月払い3,778円)年払い・税抜。初年度2,698円のキャンペーンは2026-07-01〜09-30
exaBase 生成AI公式LPは要問い合わせ
(直近告知の基本料金900円/1ID)
価格表記がLPから消えている。導入社数はLPが1,700社・PRが約1,400社
ELYZA Worksは税抜と税込の両方が公式に存在します(ELYZA本体LPが税抜、KDDI公式が税込)。片方だけ書くと不正確になります。Microsoftは正確には「Copilot Business」アドオンで、大企業向けの別SKU(Microsoft 365 Copilot)と混同しないよう注意が必要です。
exaBaseの数字について(正直に)
exaBaseは公式LPから価格表記がなくなり、要問い合わせの状態です。金額は直近の公式告知(2025年7月改定)に基本900円/1IDとある値を参照しています。また導入社数が公式LP(1,700社)と公式PR(約1,400社)で食い違っています。どちらも公式ですが、片方だけを断定的に引くのは避けます。
キャッチコピーの扱い
ChatSenseの「社内データ検索、日本一。」という表示には、調査主体や根拠の注記が確認できませんでした。真偽を判断できないので、「そう表示されている」という事実にとどめ、正しい/正しくないの断定はしません。

06結論

比較するなら、まず言葉を分ける
「国産AI」は、モデルを自社で持つものと、外部モデルを業務向けに仕立てるものの両方を指しています。
どちらが優れているかではなく、公式が何と言っているかを、そのまま分けて読む。そして価格は、税基準・最低契約・キャンペーン時点を必ずセットで見る。これだけで、比較記事の多くが陥る誤解を避けられます。
私たちにとっての意味
オープンソースで社内AIを提供しようとすると、「外部モデルを使う構成」の国産SaaSが既に多数あり、価格も980円〜と非常に安いことが分かりました。原価計算の記事で示したとおり、ローカルLLMは多くのケースでAPIより高くつきます。この領域は、後発が価格で入る余地が小さいというのが、私たちの評価です。
この調査は、私たちがオープンソースを日本語のマネージドサービスとして提供する(Miqto)ための候補評価の過程で行ったものです。あわせて読む:社内AIの原価を計算した ─ ローカルLLMは本当に安いのかOSSを評価する11段のゲート日本のIDaaS価格を全部調べた

データ・出典

  1. NTT tsuzumi(「フルスクラッチでゼロから開発した純国産モデル」)/SB Intuitions Sarashina(「フルスクラッチで開発した最新の国産LLM」)/PFN PLaMo(「フルスクラッチ開発する国産の大規模言語モデル」・API入力60円/出力250円・2025-05値下げ)
  2. カラクリ KARAKURI LM モデルカード(「builds upon Llama 2」「Finetuned from: Llama-2-70b」)
  3. 富士通 Takane(2024-09-30)(「CohereのLLM『Command R+』をベースに(略)開発した」・公式に「純国産」の語なし)
  4. ChatSense(980円〜/人/月・初期0円・最低人数/期間なし・外部モデル利用を明示)
  5. ELYZA Works with KDDI(税込1,078/3,278/5,478円・最低20アカウント・最低3か月)/ELYZA Works LP(税抜980/2,980/4,980円)
  6. Microsoft Copilot Business(3,148円・年払い・税抜/初年度2,698円は2026-07-01〜09-30/月払い3,778円)
  7. exaBase 生成AI(LPは要問い合わせ・GPT/Gemini/Claude等の利用を明示)/価格改定告知(2025-07・基本900円/1ID)
本記事は特定の社内AIサービス・言語モデルの推奨・非推奨や優劣の評価を目的としたものではありません。各サービスの構成・価格は2026年7月20日時点で公式情報として確認できた内容に基づき、変更され得ます。とくに価格改定・キャンペーンは頻繁なため、Microsoft・ELYZA/KDDI・exaBaseは検討時に再確認してください。基盤モデルの開発方式は「公式が明言しているか」のみで分類しており、明言のないものは「非公表」としています。「非公表」は、フルスクラッチでないことを意味するものではありません。会社名・製品名は各社の商標です。