01なぜこれを調べたか
私たちはオープンソースで社内AI(RAG)を構築する原価を別記事で計算しました。その流れで、「では、既にある国産の社内AI SaaSは、いくらで、何を使っているのか」を知りたくなりました。
調べてすぐ気づいたのは、「国産AI」という言葉が、まったく違う2つのものを指していることです。自社で言語モデルそのものを開発しているサービスと、外部の言語モデルを組み合わせて業務向けに仕立てているサービス。この2つを混ぜて比べると、価格も評価も意味を失います。
02分ける軸:モデルを「持つ」か「使う」か
まず軸を定義します。公式が自ら述べている事実だけで分けます。
自社で言語モデルをフルスクラッチ開発と公式が明言
例:NTT tsuzumi / SB Sarashina / PFN PLaMo
※Takaneは海外モデルをベースと公式が明示(後述)
OpenAI・Google・Anthropic等の外部モデルを利用する構成と公式に明示
例:エクサベース AI(旧 exaBase 生成AI)/ChatSense(いずれも公式が外部モデル利用を明示)
※自社基盤モデルの保有は公表していない
03フルスクラッチと明言しているモデル
「自社でゼロから作った」と公式に明言しているモデルだけを、逐語で確認しました。曖昧なものは「非公表」に置きます。
| モデル | 公式の記述 | 判定 |
|---|---|---|
| NTT tsuzumi | 「NTTがフルスクラッチでゼロから開発した純国産モデル」 | フルスクラッチ明言 |
| SB Intuitions Sarashina | 「フルスクラッチで開発した最新の国産LLM」 | フルスクラッチ明言 |
| PFN PLaMo | 「PFNグループがフルスクラッチ開発する国産の大規模言語モデル」 | フルスクラッチ明言 |
| カラクリ KARAKURI LM | 公式モデルカード「builds upon Llama 2」「Finetuned from: Llama-2-70b」 | Llama 2ベース |
| NEC cotomi | 「独自開発」と説明。フルスクラッチか否かの明言は確認できず | 非公表 |
| PKSHA | RetNetで独自開発と説明。フルスクラッチの明言は確認できず | 非公表 |
04富士通Takaneと「純国産」の話
ここは、言葉の使われ方が要注意です。富士通のTakaneは「純国産」と紹介されることがありますが、公式の記述は違います。
05社内AI SaaSの価格を並べた
外部モデルを利用する構成のものを中心に、価格を公式で確認しました。価格改定が速い領域なので、条件と時点を必ず添えます。
| サービス | 価格 | 条件・注記 |
|---|---|---|
| ChatSense | 980円〜/人/月 | 初期0円・最低人数/期間なし・超過分は従量 |
| ELYZA Works | 税抜 980 / 2,980 / 4,980円 (KDDI公式は税込 1,078 / 3,278 / 5,478円) | 最低20アカウント・最低3か月 |
| Microsoft Copilot Business | 3,148円 | 年払い・税抜。初年度2,698円のキャンペーンは2026-07-01〜12-31(初回確認時の記載は9-30まで)。既存のMicrosoft 365顧客向けアドオン |
| エクサベース AI 旧 exaBase 生成AI | 公式LPは要問い合わせ (直近告知の基本料金900円/1ID) | LPに価格の記載なし。導入社数はLPが1,700社(画像で表示)、公式PRが約1,400社 |
Microsoft Copilot Business は、初年度2,698円のキャンペーン期間の記載が、初回確認時の9月30日までから12月31日までに変わっていました。また初回に書いた「月払い3,778円」は、現在の公式ページでは確認できなかったので外しました。出典のURLも、一般法人向けプラン一覧へ転送されるようになっています。
exaBase 生成AI は「エクサベース AI」に名前が変わっていました。
※ この再確認の途中で、一度「LPから導入社数の記載が消えた」と書きましたが、誤りでした。社数(1,700社)は画像で表示されていて、ページの文字だけを抜き出して調べたために見落としていました。公開前の検証で指摘され、画像の代替テキストで確認して直しています。
06結論
どちらが優れているかではなく、公式が何と言っているかを、そのまま分けて読む。そして価格は、税基準・最低契約・キャンペーン時点を必ずセットで見る。これだけで、比較記事の多くが陥る誤解を避けられます。
データ・出典
- NTT tsuzumi(「フルスクラッチでゼロから開発した純国産モデル」)/SB Intuitions Sarashina(「フルスクラッチで開発した最新の国産LLM」)/PFN PLaMo(「フルスクラッチ開発する国産の大規模言語モデル」・API入力60円/出力250円・2025-05値下げ)
- カラクリ KARAKURI LM モデルカード(「builds upon Llama 2」「Finetuned from: Llama-2-70b」)
- 富士通 Takane(2024-09-30)(「CohereのLLM『Command R+』をベースに(略)開発した」・公式に「純国産」の語なし)
- ChatSense(980円〜/人/月・初期0円・最低人数/期間なし・外部モデル利用を明示)
- ELYZA Works with KDDI(税込1,078/3,278/5,478円・最低20アカウント・最低3か月)/ELYZA Works LP(税抜980/2,980/4,980円)
- Microsoft 365 一般法人向けプラン(Copilot Business を含む)(3,148円・年払い・税抜/初年度2,698円は2026-07-01〜12-31・年間契約・既存顧客のみ。旧URLはこのページへ転送される)
- エクサベース AI(旧 exaBase 生成AI)(LPは要問い合わせ・GPT/Gemini/Claude等の利用を明示)/価格改定告知(2025-07・基本900円/1ID)