01費用はどこに書いてあるか
JIIMA認証は5つの区分に分かれていて、費用は区分ごとの「認証を受ける方へ」というページに書かれています。認証制度のトップページにも、規程の一覧ページにも金額の記載はありません。横断した料金表は、5つの費用ページすべての「規程類」からリンクされている基本規程(JIIMA-A036)の第38条(申請費用)にあります。ただし第38条は5区分を3グループにまとめた形で、Webページとは項目名が違います(Webの「登録料」は第38条では「派生製品登録料」)。本記事はその両方を突き合わせて区分ごとに並べ直したものです。
そこで5ページを順に取得し(1ページ1リクエスト・3秒間隔・計5リクエスト)、「申請にかかる費用について」の節をそのまま書き出しました。5ページとも「2026年4月1日改訂」と記載されています。
02区分別の費用(全5区分)
| 認証区分 | 新規審査手数料 | 更新審査手数料 | 派生製品 登録料 | 延長申請費用 |
|---|---|---|---|---|
| 電帳法スキャナ保存ソフト | 400,000円 会員 320,000円 | 250,000円 会員 200,000円 | 100,000円 | 100,000円 |
| 電子帳簿ソフト パターン1(会計パッケージ:帳簿作成・保存) | 500,000円 会員 400,000円 | 300,000円 会員 240,000円 | 100,000円 | 100,000円 |
| 電子帳簿ソフト パターン2(帳簿保存のみ) | 400,000円 会員 320,000円 | 250,000円 会員 200,000円 | 100,000円 | 100,000円 |
| 電子取引ソフト | 400,000円 会員 320,000円 | 250,000円 会員 200,000円 | 100,000円 | 100,000円 |
| 電子書類ソフト パターン1・2・3共通 | 400,000円 会員 320,000円 | 250,000円 会員 200,000円 | 100,000円 | 100,000円 |
| デジタルシームレスソフト | 300,000円 会員 240,000円 | 200,000円 会員 160,000円 | 100,000円 | 100,000円 |
会員価格はどの区分でも2割引きでした(新規審査・更新審査のみ。派生製品登録料と延長申請費用は、基本規程第38条で一般・会員とも10万円と同額です。Webページには会員価格の記載がなく、規程を見て初めて分かります)。金額が最も大きいのは電子帳簿ソフトのパターン1(会計パッケージ)で50万円、最も小さいのはデジタルシームレスソフトで30万円です。
このほかオプションとして、認証製品一覧ページから製品の公式ページへ直接リンクを張れる「外部リンク掲載サービス」が月額2,500円(会員2,000円・税別)で用意されています。5区分とも同額です。
035区分そろえるといくらか
単純に合計します。電子帳簿ソフトはパターン1(会計パッケージ)を選んだ場合です。
そして更新審査手数料の合計は125万円(会員100万円)です(これもパターン1前提。パターン2なら120万円・会員96万円)。認証には有効期限があるので、取り続けるかぎり定期的に発生します。
「複数ソフトを同時に申請する場合に総額から20%の割引がございます。」「制度をまたぐ複数ソフトの申請は割引対象外です。(ただし、JIIMA会員の場合は対象です)」— 電帳法スキャナ保存・電子帳簿のFAQ
会員価格と重ねられるのかも、FAQが答えています。「JIIMA会員の場合でかつ複数申請の場合、会員価格から割引適用される認識でよろしいでしょうか?」に対して「ご認識の通り、会員価格からさらに割引が適用されます。」— 電子書類・電子取引・デジタルシームレスのFAQ
5区分をそろえることは「制度をまたぐ複数申請」に当たります。記載を素直に読むと、非会員は割引対象外で200万円のまま、JIIMA会員は会員価格160万円からさらに2割引きで128万円となります。
ただし同一製品で5区分を申請することが「複数ソフトの同時申請」として扱われるのかは、公開情報からは確認できませんでした。(電子書類ソフトのFAQには「同一製品で、複数のパターンの電子書類ソフト認証を同時に申請された場合は、割引の対象となります」とあり、同一制度内のパターン違いは対象だと分かりますが、制度をまたぐ場合の書き方はありません。)実額は申請時にJIIMAへご確認ください。
1区分だけなら新規審査40万円前後です。この分布は費用の構造と整合的ですが、費用が理由でこうなっているかどうかまでは確認していません。
04更新と延長
費用のページには、更新について次の説明があります(原文ママ)。
つまり選択肢は2つです。
05見落としやすい条件
| 条件 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 評価は2回まで | 「※新規審査手数料につきましては、評価2回を上限とします。3回目以降では更新審査手数料と同額を別途お支払いいただきます。」 表記は区分で3通りに分かれます。上は電子書類ソフト・デジタルシームレスの原文。電帳法スキャナ保存・電子取引は「※評価2回上限とします。3回目以降では更新審査手数料と同額をお支払いいただきます。」、電子帳簿は「※ パターン1、及びパターン2の新規審査手数料につきましては、…」です | 3回目以降は区分に応じて20万〜30万円が別途 |
| デジタルシームレスは単独で取れない | 「デジタルシームレスソフト認証を申請する際は、電子取引ソフト認証の取得が必要です」 | 実際は30万+40万=70万円から |
| 登録料は派生製品の費用 | Webページの注記は「※登録料はマニュアルが共通の派生製品について発生します。」。基本規程第38条の項目名も「派生製品登録料」です | 主製品に対応する登録料の項目は第38条に存在しません。1製品だけの申請なら発生しません(後述) |
| 同時申請なら20%引き | 「複数ソフトを同時に申請する場合に総額から20%の割引がございます」「制度をまたぐ複数ソフトの申請は割引対象外です。(ただし、JIIMA会員の場合は対象です)」 | 金額表のページには無く、FAQページにだけ記載。会員価格からさらに引かれる旨もFAQに明記(前述) |
| 期間 | 「現在、申請件数が非常に多く、評価機関が順次認証審査を行っております。これから新たに申請された場合はかなりの時間を要し、認証の申請から取得まで通常でも3ヶ月程度となっております」 | 5区分中4つのページに同じ記載。デジタルシームレスソフトのページにはこの記載はありません |
※デジタルシームレスの前提となる電子取引ソフト認証は「令和5年度認証(保存方式:CまたはD)が対象」とされ、同時申請も可能と書かれています。
06OSSがこの制度に乗りにくい理由
私たちがこれを調べているのは、オープンソースで電子帳簿保存法に対応できるかを確かめるためでした。費用の構造を見ると、理由の一つがはっきりします。
認証は「製品を提供する事業者」が申請して支払う仕組みです。1区分でも新規審査40万円前後、さらに有効期限ごとに更新審査20万〜30万円がかかります。無償で配布されているソフトウェアには、これを負担する主体がいません。実際、認証製品897件を確認した範囲ではオープンソースの製品は見当たりませんでした。
ただし認証が無いと違法、という意味ではありません。電子帳簿保存法とその施行規則にはJIIMAという語が一度も出てこないことを、条文で確認しています。
07自分の記事の誤りを直しました
費用を調べ直した結果、以前の記事の書き方が正確でないことが分かりました。
公式ページの注記は「※登録料はマニュアルが共通の派生製品について発生します。」。さらに基本規程(JIIMA-A036)第38条を読むと、費用項目は「主製品新規審査手数料」「主製品更新審査手数料」「派生製品登録料」「延長申請手数料」の4つで、主製品に対応する登録料の項目がそもそも存在しません。延長申請手数料だけ「主製品及び派生製品共に1本あたりの金額」と注記して区別しているので、書き分けは意図的です。1製品だけを申請するなら、登録料10万円は発生しません。
該当記事は「新規審査40万円(税別)。登録料は派生製品について発生する」という書き方に直しました。
読み取れなかったのではなく、読みに行っていなかっただけです。答えは費用ページ自身がリンクしている基本規程PDFの第38条にありました。Webページの一文だけを見て「不明」と結論していたことになります。
「不明」と書く前に、そのページがリンクしている一次資料を最後まで開く。——この記事で自分に課した手順です。
データ・出典
- 各認証制度の「認証を受ける方へ」ページの「申請にかかる費用について」(いずれも2026年4月1日改訂・2026-09-18取得):電帳法スキャナ保存ソフト/電子帳簿ソフト/電子取引ソフト/電子書類ソフト/デジタルシームレスソフト
- 電子帳簿保存法対応ソフト法的要件認証制度に関する基本規程(JIIMA-A036)(令和3年3月17日制定・令和8年4月1日最終改定・2026-09-18取得)の第38条(申請費用)と第3条(主製品・派生製品の定義)。5つの費用ページすべての「規程類」からリンクされています。令和8年4月1日の改定内容は同規程の改定履歴に「全ての認証制度の延長申請手数料を改定(第38条)」と記載があり、Webページの「2026年4月1日改訂」と一致します
- 各認証制度のFAQページ(2026-09-18取得):電帳法スキャナ保存/電子帳簿/電子取引/電子書類/デジタルシームレス。同時申請の20%割引は費用ページには無く、このFAQにだけ記載があります
- JIIMA「認証制度」(5区分の一覧)
- 事業者数・区分数の実数は、認証製品一覧5区分の全件集計(2026年8月21日現在・のべ897件)によります
- 取得方法:1ページ1リクエスト・3秒以上の間隔で、費用ページ5本・FAQ5本・規程PDF2本を取得。記事化の直前に主要な資料を取り直し、SHA-256が一致することを確認しています(基本規程PDFと3本のFAQで一致)。JIIMAのrobots.txt は
/wp-admin/のみをDisallowとしており、/certification/は対象外であることを事前に確認しています